2021年7月14日水曜日

意識は洗練させるべきもの 6期6回目 大阪明鏡塾レポート

  6期も特別何が出来たわけでもなく終わった。課題が次から次へ出てくるので、ずっと道半ばだ。今回は、武禅後の明鏡塾だったので、意識の鮮明度にいつもより注意がいった。意識はだいぶ濁っていたが、1日終わると意識がだいぶすっきりした。

 

●冒頭の宿題:「最初に元気なあいさつ、声かけをしてみる」に関して

1Mさん。チーターが一心にえさをねらっているときのようにする。結果、体がうまく動く。手技などをしているとき、体の事は考えないこと。考えるとしたら、例えばスポーツで球を投げるとき、全体のバランスはどうか、を考える。体が自動的にやってくれる事、そっちにまかせてしまうこと。体の部分部分、腕や肩の動かし方、動きをどうするか、なんて考えるのは間違いの元。

2Nさん。いろんな人がいるが、相手に合わせることは考えなくて良い。こっちが元気だったらいい。死にかけのばばあとか、いろいろいるが、原田先生は元気にあいさつする。そうすると相手は元気になる。こっちが死にかけの人に合わしてもしゃあない。

3Oさん。元気にあいさつする。最初に、ほめるところがあれば、ちょっとほめておいて持ち上げる。怒るところがあれば、軽く怒る。そうして明るくして治療に入る。

 

A)    今回の明鏡塾のワークについて

1) 「背中を触れる」ワーク(21組、腹臥位)

 今回もIさんと組み、筋肉を触れる、骨(肋骨など)を触れる、と違いを確かめていった。意識の焦点を調節して、手の感じとる先を、自分が意図した深さ、その場所の筋肉、もしくは骨に当てる、ということを試していくと、意識が静かになって、手を当てながら寝そうになった。終わった後の相手の顔も血行がよくなって、「ちゃんと手が自分に触れられた感じがして気持ちよかったです」という感想が聞けた。相手のいろいろな所に意識の焦点を当てて、手で感じ取るのは面白い。これからも、手で感じとる精度、遠さ、広さ、深さなどの範囲を深めていきたいと思った。

 

2) 「坐って後ろに倒す」ワーク(21組、坐位)

 坐っている相手の片腕を両手で持ち、前腕の骨を手で感じて、骨を動かして後ろにこかす、というワーク。意識を静かにして、手から感じる相手の骨だけを相手の方へ動かすと、相手はバランスを崩してこける。何回かやっているうちに意識が静かになってきて、出来るようになった。手をピタッと当てて、相手の筋肉と骨を圧を微妙に調節しながら感じ取り、手だけの感覚になって、その感じのまま骨を動かすと、手応えがないままに、相手はバランスを崩して倒れた。

普通に、手で腕を握って相手をこかそうとすると、自分の欲求だけがあって、相手とぶつかって相手は抵抗してこけない。数十分後ワークに取り組んで慣れてきた後、「筋肉を感じる」ワークに移り、同じ事ができるのを確かめた。

 

3) 「坐った人の両腕を持ち、腕を回外させつつ、相手の肘を外側から背中へ誘導し、そこから相手の肘を下へ動かすことで背中を下へと窮屈にロックさせ、最後に腕を回外させて腰バンドをつくり、椅子から立たせる」ワーク(21組、椅子坐位と立位)

坐った相手に腰バンドをつくり、相手を椅子から立たせるワーク。今まで何度も挑戦しているが、今回も難しかった。手の力みがどうしても出るのと、手から相手に自分の意識が伝わらないのが、課題として見つかった。日野先生がデモをされると、自分の体がどの方向へ動くべきか、意志が明確な線となって手から伝わってくる。不思議な感覚だが、日野先生の意志、意識の明瞭さがはっきりときわ立って感じとれる。自分たちがやると、まったく相手に意識が伝わっていかない。手は力ませず、自分の体幹は力一杯動かして、根性でなんとかできないか、とワークに取り組んだ。そのうち体幹の余計な力が抜けてきて、明瞭な意識が相手に伝わるようになればいいのだが・・・。

 その次に、手は相手の前腕を握っておいたまま手順を想像でなぞるだけで、相手を椅子から立たせるというワークも行った。日野先生は簡単にデモされるが、当然のように自分たちにはできなかった。そのうち少しは意志が相手に伝わるようになるのかなあ、と半信半疑状態のまま終わった。

 

4) 「寝た人に歌を頭の中で歌ってもらい、相手の意識を吸い取るがごとく感じたら、相手を起こす」ワーク(21組、仰臥位と坐位)

 相手と立位同士で対面して、相手に一歩踏み出してもらい、動こうとする意識を感じた瞬間、相手に向けて手でストップをかける、というワークを準備的に行った。そして、相手に仰向けに寝てもらい、頭の中で歌を歌ってもらう。首の後ろに片手を添えて、歌を歌っている相手の意識を取りに行き、上体を起こす。もし意識が吸いとれたら、相手をすんなりと起こすことが出来る。なんの歌かは分からないが、歌っている意識を本当に取りに行けたら、すんなりと起こせる。Iさんとやったが、お互い意識をつかみに行けず、遠い感じがした。目で聴く、意識を吸いとる、は意識が自分の方へ引っ込みがちな自分たちにとって、難しいワークだった。日野先生から「もっと(積極的に)吸い取りにいけ」とアドバイスがあり、あきらめずに挑戦していると、なんとなくこれか、と思う瞬間が出てきて起こせた。なんでこんな現象が起こるのか不思議だが、面白かった。

 

B)    今回の明鏡塾を終えて

最後の話し合いで、意識という鍵となる言葉について、注意があった。

「意識的にやったら緊張する」と言う人がいるが、「あほか」。意識的もへったくれもない。各人の仕事に沿って触れたらいい。直球で触れたらいい。実際はシンプルだ。無駄な言葉が多いから、自分が使われてしまう。チーターがえさをねらって追いかけるとき、全身が勝手にそれをしている。

武禅で、意識の働きは洗練すれば、自意識といったような自分が作り上げた幻想ではなく、現実的な世界で、体の感覚に即したものとして働かすことが出来、それは自分の体とは違う他人の心身にも働かすことができる、ということを体験させてもらった。生きていたら意識はある、と意識について特別に何も考えていなかったが、意識は一生をかけて洗練させていくべきものだったのだ。

意識、感情、意欲といった生の原動力となる要素を再発見することにより、命のエネルギーが呼び起こされ、ヒトの秘めたポテンシャルはすごい、と感じることが出来る。日野先生の一連のワークは素晴らしい。

2021年7月13日火曜日

ヒトと感覚の根源にせまる 6期5回目 大阪明鏡塾レポート

 今回も深かった。「人は人に何もできひん」という医療を考える上での根源的な考えを日野先生から聞いた。大変厳しく、頭では面白いと興奮したが、体には胃腸の痛みとして現れた。今回の教えはいつも自分の中で熟成させていかなければならない。いい話で終わらせると、すぐ元に戻る。教えを体にしみつかせないと価値がないし、そのためには繰り返し、習慣化が大事だろう。

 

●冒頭の宿題:「ここを改めて決めて触れてみる」に関して

1)前回の「左手で炎症をとる」を試されたAさん。手かざしは遠くから始めて、違和感が消えたら手を患部に少しずつ近づける。そうして芯が取れたら終わりで、ほとんどの場合、皮膚からある程度離れたところで終わる、とのこと。

2)「治してあげる」なんて傲慢な考えだ。医療における大前提は、「人は人に何もできひん」ということ。医療者が患者さんの病気やつらさや死ぬことを変わってあげることはできない。だから、できるせいいっぱいのことをせなあかん。その根性をもっているかどうか、が力になる。

 自分が自分の命を捨てているから強い。自分が守るものがあるから強い。武士道において武士が強かったのは、自分を守るために戦っていたのでなく、主君を守るために戦っていたからだ。

3)実際の治療において、「なんとはなしに、ここか」と感じて触れることが大事。意識が働くと、「ここ」が違和感になる。そんな感じで触れ始めると、触れている一点から、別の一点が見つかる。そうやって触れていって治療する。

 

A)    今回の明鏡塾のワークについて

1) 「背中を触れる」ワーク(21組、腹臥位)

 今回も前回の流れをふまえて、(1)筋肉を触れる→骨(肋骨など)を触れる、(2)部分を触れる→全体を触れる、とやってみて、違いを検証していった。

 いかんせん、手が先生のようにシャープでなく、ぼてっとしている。みるからに感度が悪そう。なんとか感覚を得ようとして、手を押しつけ、相手に圧迫感を与えた。また手の感度は意識の静けさにも比例する。特に骨を触れるときは、意識を静かにして手で骨を感知すると、骨だけが浮かび上がってくる。受けていても、仕手が上手にやっているときは、自分の筋肉や骨だけが浮かび上がって感じられた。未熟な自分たちは、筋肉や骨の浮かび上がり方が部分部分で輪郭もぼやけており、ドットがめちゃくちゃ抜けた液晶画面のようだ。

 

2) 「立っている相手の呼吸に合わせて入り込み、前に歩かせる」ワーク(21組、立位)

 相手に両腕を直角に曲げてもらい、大きく呼吸して、呼気は手を前に吸気は後ろに動かしてもらう。数呼吸してリズムがつかめたら、相手の吐く息のリズムに合わせて一息で相手の横に入り込み、吸うときに直角の前腕と背中に手を添えて、次の吐く息のリズムで前に一緒に歩くように誘導する。相手のリズムと一緒になり、終始相手の意識や呼吸の流れで一連の動作をする。

 次に動作を簡略し、相手の横に入り込んだ後、背中にまわした腕をまっすぐラリアットのように相手の上背部あたりに当てて、前に歩かすというバージョンも行った。

今回気づいた自分の課題は、相手と一緒に前に歩こうとするとき、もっと上背後から大きく前に意識をもっていかないとだめ、ということだ。ブランコ(自分)とブランコにのった相手が、一緒に前に行くように。それから、意識がちゃんと相手に向いていて、距離を置かないことも大事な点だ。どうしても自分たちは、距離が遠く、一緒にならない。わざと近くに立っても違和感が発生し、意識は遠いままだった。

 

3) 「相手に突いてもらい、こぶしが前に来たときに、自分の意識や手を添えて、もう少し前に誘導して、相手を前に崩す」ワーク(21組、立位)

 明鏡止水という番組の、武神館の崩しを解説されていた日野先生の一場面を彷彿とさせるワーク。

 相手が「突く」と意識発動する前から意識を合わせ、相手に向かってむしろ突きを呼び込むように意識を出す。伸びてきた突きの手に自分の手を添え、意識は相手の背から肩を通って自分へと方向を変えずに前へと添わせる。そうして相手が突きを止めるところから、相手のスピードのまま少しねばると、相手は前にバランスを崩す。

 このワークは遊びのような感じで面白くでき、意識を相手に向ける、いい訓練だった。

 

4) 「寝た人を呼吸のリズムに合わせて起こす」ワーク(21組、仰臥位と坐位)

 相手に仰向けに寝てもらい、吐くときに両腕を天井の方へ突き上げてもらう。首の後ろに片手をピタッと当てて、もう片手で相手の動いている前腕に手を添えて、相手の呼気のリズムに合わせて起こす。

 体格の大きいAさんと組んだので、いい訓練になった。本当に相手の呼吸に自分がなると、驚くほどすんなりと起こせた。ちょっとでも自分の呼吸になると、相手の呼吸になったつもりということがわかり、相手がずっしりとして起こせなかった。

 また呼吸のコピーをしようとしたら、私はまったく正反対に呼気と吸気をコピーしてしまい、修正に数呼吸かかったときがあり、視野が狭くなりすぎて大局が見えなくなっていたのに気づいたときは自分で笑った。

 

5) 「寝た人に鎖骨、肩、上腕、肘にさすって信号を与えて起こす」ワーク(21組、仰臥位と立位)

以前にもしたことのあるワーク。相手に向かって丁寧に同じ圧、速度、同じ意識状態で体に向かって信号を与えていく。大きな意識で肩を前から後ろへ丸くさすり、上腕をさすると同時に背中を上から下へ動いていくのを意識して手などで感知する。肘まで行ったら、外から後ろ側へと丸くなでることによって、腰や骨盤をしめて、相手の上体を一体化させて起こす。

集中して一つ一つ丁寧にして、相手に向かって意識を大きく使い、頭を静かにして手や体の感覚を鋭敏にしないと、すぐに失敗する。今回は丁寧さが大事だなあと感じた。これも意識や感覚を研ぎ澄ませるいい訓練だった。

 

6) 「坐った人の片腕を両手で持ち、肩、背中、腰へと動かし腰でバンドをつくって立たせる」ワーク(21組、床坐位と立位)

坐った相手の片腕に両手を添え、肘に近い手で相手の肩を前→上→後ろへと繊細に感じながら動かし、背骨を上から下へ行って、前腕から肘を外旋させることで腰を横にゴムがねじれるようにしてバンドをつくり、バンドごと相手を椅子から立たせる。今回は相手が体格の良いAさんだったので、腰あたりに行くと動きや感覚を見失い、腰の筋肉がねじれる感覚や動きが手でとらえられず、思わず手に力が入って、相手に送っている信号も腕に戻ってしまい、失敗した。うまくいかないときほど、冷静に丁寧にしなければいけないが、いざやると、力んで頭も騒々しくなる。訓練が必要だ。

 

7) 「ひとりぼっちの夜で立たせる」ワーク(21組、椅子坐位と立位)

 椅子に座っている人に「ひとりぼっちの夜」と歌ってもらい、それを目で聴いて、近づいていき、意識を切らさずに腕を取って、一緒に立つというワーク。

 ポイントは相手にちゃんと、ずっと意識を向けていられるかどうか、だ。相手のリズム、相手の意識状態で、自分の体を動かしていって、相手を飲み込むように背部から手前へと意識の大波でさらっていくようにして、相手を手前へ立たせる。前回はもう少しましだったような気がしたが、今回は失敗ばかりだった。意識の鍛錬にはきりがない。

 

B)    今回の明鏡塾を終えて

今回は、日野先生に対して、皆が右の背中や上肢にかけて違和感のあるところを指摘し、違和感のあるところを11点手当するという、治療的なことも経験できて良かった。違和感のある一点が、以前よりなんとなくわかり、指を当てていても、手応えが変わって良くなったことが感じとれた。

またBさんが途中で腰を痛めて、日野先生が本当に目で聴いて腰痛をとるという、ハプニングもあった。日野先生がBさんに対して目で聴いているのを見ていると、こちらも見ているだけで感動した。いつか「目で聴く」をちゃんと出来るようになりたいものだ。

打ち上げ時にも深いお話を聞け、本当にためになった。

日野先生曰わく、「つつがなく過ごしています、って訳がわからん」と。「感情を動かして生きているなら問題があるのが当たり前」との言葉に、思わず我が身を振り返った。無難にやりすごすのは、無駄な努力のようだ。問題が起こったときには覚悟を決めて対処するほうがいい。

それから「胸骨の一点を動かすのが大事と気づかれたのはなぜですか? 4千年前くらいの古代中国人が直感的に感じたのと似たようなことですか?」という質問をした。

中国伝統医学では、「心は神明(精神・意識・思惟の働き)を司る」と言われているのが念頭にあったからだ。

すると「理屈なんか何もなく、あるとき、自分がそうだと感じただけ」とのこと。

「中丹田や膻中(経穴名)といった名前にとらわれてはいけない。最初に見つけた人は、その人の体の場所と心身への影響、どういう作用があるのかよく知っていたが、場所に名前はなかった。その人の弟子など後生の人が勝手に名前をつけただけ。丹田や膻中といった言葉、概念を追い求めて勉強するのは間違いのもと。人によって、その時々で、体の作用点と心身への影響は違ってくる。それぞれの体で、そういう働きをする点を、実際に見つけていくことが大事」。

「それは音と心の関係と一緒。フリージャズで音を根源までとことん追求していったとき、行きついたのは、音と心身の関係性。根源的には、火山の噴火などを見てわーっと感情がわき上がって自然に出たようなものが音。人それぞれの音がある。12音階とけっして決まっていない。西洋人が12音階にしたのは、完璧な洗脳。まだインド伝統音楽のほうがまし。人間はあくまでアナログ。デジタルではない」。

E=MC²、に匹敵することは何かと考えた末の答えが、関係。それぞれが重力で引き合い、重力で関係する。原子レベルのミクロでそうなのだから、その集合体の人、マクロでもそうでないとおかしい。宇宙に広がる星、星と衛星、重力が司る、そんな関係。ワークで「呼吸を合わせる」というのは、この重力場を作り出しているのと同じだ。重力が大きければ、他の星を引き寄せるし、星とバランスがとれていれば、等しい距離を保つ。合わせた側の重力が大きくないと、相手を誘導できない」。

気宇壮大な話で、ロマンを感じた。東洋医学で、生薬や経穴とそれぞれの体、感情の反応、関係性を探究して治療していく。なんて奥が深く、面白そうな観点だろう。

 

2021年7月12日月曜日

相手の意識のまま動作する 6期4回目大阪明鏡塾レポート

  春雨の日、皆やっていることが明確になり、煮詰まることもなく集中し、午後休憩もなくぶっ通しで終わった。今回のキーワードは「感情」だった。

 

●冒頭の宿題:「姿勢に注意し、腰を引けないようにする」に関して

 癖をとるためにするなら、気がついた時にするだけではダメで、24時間するくらいでないといけない。癖は自分が長年かけて身につけたもので、癖はなかなか取り除くことはできないので、新たな癖で上書きすること。

 

A)    今回の明鏡塾のワークについて

1) 「背中を触れる」ワーク(21組、腹臥位)

 Hさんはじめ、いろいろな人と組んだ。HさんやOさんなどから、「だいぶ気持ち良く触れられたが、もっと深いところに踏み込んで来て欲しい」という、同じ指摘をされた。これは自分も自覚している課題だ。相手につい遠慮してしまい、ひどいときは相手を無視したような勝手な応対をする。自分の感情に蓋をしているのが原因か。

この殻を破るには、あの手この手で発憤して難度も挑戦する、もしくは遊び感覚で我を忘れるほど集中してするところから始めるしかないだろう。

今回は、「部分を触れる」、「全体を触れる」と二通りの触れ方があることを教わった。人に触れるとき、(1)部分を触る(肩や背中など手が触れた部分)、(2)全体を触る(相手の肉体全部というより意識体全体)、と意識を変えることができる。

日野先生がデモで部分と言って触れられると、手から背中がくっきり浮き上がるように見えた。次に全体と言って触れられると、全体が包まれるように浮き上がって見えた。日野先生の意識の明確さ、意識の向け方、使い方にはいつもながら驚かされた。

「部分を触れる」では、背中を触れて、背中をほぐす。背中がほぐれるのを感じ取る。

「全体を触れる」では、相手の肉体にとらわれず、相手の体全体、意識体を感じ取るように触れる。

全体を触れるで、日野先生から「漠然と触れるのではなく、まずひな型がいるで」というアドバイスがあった。そこでまず触れる前に自分なりのひな型を思い浮かべ、実際触ってみたとき、刻一刻、手や体で感じ取った情報でそのひな型を修正していった(その際、大脳・頭は働かせないこと)。私の場合、ひな型は、体表から推測できる解剖図(その人の体型なりの骨格や筋肉、血管、内臓などの配置を推測)に、自分が相手を見て予測した相手の呼吸のリズムやイライラや緊張度などの意識状態を合成させて作った。

 

今回は、手や全身を活性化させるために、

12人組になり、半身で立って両手を合わせて押し相撲をする。

2)腰を引かない練習として、相手の近くに立ち、相手の首の後ろに片手をピタッと当て、もう片手は相手が自分の首に添えた腕に添えて組み合う。そして相手の首の後ろに添えた方の肘と膝を同時に落として相手を倒す。

という、2種類の武道ワークを行った。

 いろいろな注意事項で頭がいっぱいになったころ、頭で歌を歌いながら背中をふれる、をした。手の反応に心身を任せてしまう、大脳によけいな邪魔をさせないようにするのが目的だ。やってみると、手や体が勝手に相手の背中を感じながら自然にきちっと触れていた。

 

2) 「うつ伏せで寝た人の背骨を伸ばす」ワーク (2人1組、腹臥位)

うつ伏せになった人の胸椎下部から腰椎までの椎間を広げるワーク。うつ伏せの相手の背中の横に坐り、片手を仙骨あたり、もう片手を胸椎下部あたりに置く。相手の呼吸に合わせて、相手が息を吐くときにじわっと脊椎の間を伸ばすように、両手に力を加え、相手が息を吸うときは伸びた感じをキープする。それを3回繰り返す。両手の人差し指の付け根付近を中心に圧をかけ、手のひらを返すように広げていく。外見上、手の位置はそんなに広がっているように見えないが、骨はしっかり伸ばされているように感じられた。やっている方は、手だけの小手先でなく、上腕や肩、体幹を中心とした体全体の筋肉を使う作業となり、けっこう力が必要だ。

 

3) 「立っている相手の呼吸に合わせて入り込み、前に歩かせる」ワーク(21組、立位)

 相手に片腕を直角に曲げてもらい、大きくゆっくり呼吸動作をしてもらう。数呼吸してリズムがつかめたら、相手の吐く息のリズムに合わせて一息で相手の横に入り込み、吸うときに直角の前腕と背中に手を添えて、次の吐く息のリズムで前に一緒に歩くように誘導する。これは、相手の呼吸のリズムを手がかりに相手の意識状態をとらえ、終始相手の意識や呼吸の流れを乱さないように、一連の動作をする練習である。武道教室でも練習をしているおかげか、自分の意識でなく、あくまでずっと相手の意識のまま、一連の動作をさせてもらう、ということが前よりは少しつかめてきた。今後の課題としては、精度を上げていくことと、いつでもどんな人でも同じように出来るようにしていきたい。

2021年7月11日日曜日

勘違い 6期2回目大阪明鏡塾レポート

雨でどんよりとした空気の中、いつもと違う場所でワークに取り組んだ。課題もたくさん残り心身とも疲れたが、少しずつでも着実に自分が変化しているのが実感できて楽しかった。


●宿題:「何かに触れる。デリケートなものに触れる。手の感触を確認する。適切な圧力で触れる」について

・何かのためにすることは、自分にくっつかない。没頭してやるだけでいい。そうすると自分の経験、感覚、データとして蓄積され、何かのときにさっと出てくる。それが、のちのち役に立つ。

・言語化するとき、何かに置き換えて、例えて話をすること。話し相手を見て、例えを考える。置き換えがどれくらい的確にできるか、が患者さんと話しするときにも役に立つ。

・自分にとってデリケートとは何か、と突っ込んでいくこと。自分が触る物、見る物、感覚するもの、は実は全部デリケートなものだ。とことんデリケートに感じることができる。その中でも、声がとどく、目で触れる。それの手応えが一番デリケートだ。野生動物が視線で何かを探っているときのように。

 

A)    今回の明鏡塾のワークについて

1) 「背中を触れる」ワーク(21組、腹臥位)

 前回と同じく、Nさんと組んだ。Nさんは2回目のせいか、皆からいろいろ感想やアドバイスをもらって、だいぶ頭が混乱しているような感じを受けた。意識を静かにして触れた方がいいのに、と思って、今回は違和感があるかないかだけ伝え、あまりアドバイスはしないように心がけた。しかし混乱の中、試行錯誤していくのは、成長するためには避けられない課程だ。経験をつんでいくしかない。

 今回は、最初、すっと手を水面下に潜らせるように触れる、最後、相手の反応を合図にすっと離す、ということに焦点を当てて練習した。Nさんは感性がいい女性なので、自分にちゃんと触れてきているか、それとも独りよがりか、本当に的確に教えてくれるのでいい練習になった。

 手を活性化させるべく、両手首を二人がかりで動かないようにおさえてもらい、もう少しで届きそうな位置に差し出された手に向かって、必死で握手をしにいく、という遊びのようなワークをはさんだ。

 その後、背中を触れたところ、体のいらない力が抜けて手がピタッとなり、手でおしている感じやふるえ、手の部分部分の圧力の差などの手応えを感じなくなった。そして触れられた人からは、「手がなくなって、でも触れられている感じはあって気持ちよかった」などの、よい感想が聞けた。「なんで出来たのか不思議」でなく、ねらって意図的に出来るようになりたいものだ。

 

2) 「呼気に合わせて上背部を押していく」ワーク (2人1組、腹臥位)

背中を触れる、のワークと同じように肺の後ろに手を当てて、相手の吐く息に合わせて自分の体重を手に平にのせていき、吸気時は手の圧迫をキープ。数回して十分肺を圧迫したら、相手が息を吐ききって吸おうとした瞬間に手の圧迫を解放する。うまくやれば、受け手は呼吸が軽く深くなる。

前にもしたことがあるワークだったが、相変わらず難しかった。手で相手の背中を押すのではなく、手に体重をのせていく。「肘をピンと伸ばさず、若干曲げたまま、手のひらへ自分の体重を徐々にのせていく。自分の膝を徐々に緩めていくことで、自分の体重をのせる。」とアドバイスがあったが、手などの感覚が鈍すぎて、相手の呼吸の動きに反応できない。自分の動きもぎこちなく、どうしても相手を押してしまう。肋骨も華奢に感じられて、ヒビでもはいったらやばいなあ、と感じる始末。適切な圧で体重をのせていくのも難しかった。


3) 「坐っている相手の肘、肩を感じて動かす」ワーク(21組、坐位)

 坐位の相手に片腕を肘で曲げてもらい、手首内側と前腕外側を両手で持つ。相手の前腕骨を手で感じ取り、手の感覚で前腕骨を肘の方へ動かし肘関節がコツンと当たるのを感じる。次に上腕骨を上へ動かして肩関節でコツンと当てる。

 表面的にはほとんど動いていないように見えるが、腕の中の骨をちゃんと手で感じ取り、手は終始ソフトで力まずピタッと当てたまま、骨を動かしていく。相変わらず難しいワークで、自分の手や体のどこかが力んだり、動かしているはずの所がわからなくなり(特に上腕骨)、当てずっぽうに動かしたりと、失敗ばかりだった。


4) 「坐っている相手の前腕を持って、肘、肩、反対側の肩へと動かしてつなげていき、そのまま倒す」ワーク(21組、坐位)

 相手の前腕を両手で持って、手で相手の骨を感じながら肘方向へ少し動かし、肘の関節のゆるみがなくなってコツンと当たるのを感じる。そして手で相手の上腕骨を感じながら上へ動かし、肩関節のゆるみがなくなりコツンと当たるのを感じる。手で相手の骨、筋肉の緊張、動かしている箇所を感じ取って、手で繊細に感じて動かし微調節をしながら、静かに慎重に動かしていく。相手の上肢や肩のラインを行ったり来たりしながら、何とか倒すことはできたが、まだまだ感覚や動きが粗いのを自覚した。

あるとき、ワークの途中で日野先生からストップがかかり、自分の姿勢を確かめるように言われた。私の肘が上がって力んでいて、わきが開いていた。これでは手のひらがピタッとならず、緊張が相手に伝わって、相手の上腕や肩へと力が伝わりにくい。カッコ悪いし、やりにくいわけだ。自分の肘はなるべく下の低いところで保ち、わきを空けずに姿勢良く操作しないといけない。


5) 「坐っている相手の前腕から上腕から肩、上背を反対側の肩へとなでた後、前腕外側を持って、押して相手を倒す」ワーク(21組、坐位)

相手の前腕内側に片手を添え、もう片方の手で前腕外側を肘へ向かってなでていき、意識を途切れさせず、圧や速度を変えないで、上腕外側を上へなでていく。そして肩を前→上→後ろへ丸くなでていき、上背部を反対側の肩までなでていく。反対側の肩まで行ったら、意識をとぎれさせず、速度も変えず、手を離し、前腕外側まで手を戻し前腕を持って、相手にあった圧で相手を横に倒す。

これは比較的簡単に出来た。人間って体にあらかじめ信号をあたえられると、抵抗なくその方向へ動く。しかし日野先生のように、本当に静かな意識状態でなでられて体に信号が送られ、体が自然に倒されているのを見ると美しささえ感じた。


6) 「肘を曲げて足を前後して踏ん張って立っている人を、腕から肩、背骨、腰へとなでていって、相手の体に刺激情報を与えて、前腕を肘をかかえるように持って、一緒に前へ歩かせる」ワーク(21組、立位)

 相手に足を前後に踏ん張って立ってもらい、片手で相手の前腕下側を持つ。もう片方の手で、前腕外側、肘、上腕外側を肩へと一定の速度、圧でなでていって、肩を前、上、上背部へと丸くなでる。そして肩から背骨へ横に、背骨を上から下に、腰までいったら反対側の脇腹へ横に、そして手前の脇腹へと横に、腰バンドを形成するようになでる。意識状態を途切れさせず手を離し、そのまま相手の前腕を両手で支えるように持ち、一緒に歩く。

 このワークは難しかった。日野先生がすると、不思議なほど踏ん張りが効かず、前に歩いてしまうが、自分たちがすると踏ん張りがとれないか、なんとかやっと前に一歩歩かせるか、だった。腰回りのバンドをつくる、尾骨の下をすくうように働きかけて前に歩かせるというワークは、自分の体を自分の手で触りながらやっても感覚が鈍い。自分のイメージを作ってやるのは間違いなので、なるべく見たままをしようとするが、手の感覚がよく分からず、体を動かす感覚もつかめていないので、腰くらいにくると五里霧中になった。

 Nさんからは、女性ならではの「触られて気持ち悪い」という感じがしたと言われた。しかし日野先生のように本当にその人に触れると、受け手にいやらしいやら、気持ち悪いという感覚は起きない。思いの世界でなく、静かに、相手を本当にちゃんと触れないといけない。そういう点でもハードルが高く難しかったが、いろいろな思いが浮かんでは消えてを繰り返しながら触るのではなくて、失敗してもいいのでこれと決めて触れ、経験を蓄積していきたい。

 

2021年7月10日土曜日

意識を変えずに動作する 6期1回目 大阪明鏡塾レポート

 6期は、コロナの影響にもかかわらず新しい人も加わり、活気あるいい雰囲気で始まった。清々とした一日が楽しく過ぎた。新しい人と組んだので、先入観なしの感想が聞けて居住まいを正した。

 A)    今回の明鏡塾のワークについて

1) 「背中を触れる」ワーク(21組、臥位)

 今期初めての整体師の方と組んだ。触れられた感想を返すと1回ごとに触れ方が改善していき、始まってものの1時間くらいで触れ方がどんどん良くなり、感性が素晴らしかった。1回目の礼儀正しくて固さを感じるだけのさわり方から、回を重ねるごとにこちらに向かってくるさわり方に変化していった。受けていて、人としての私を触ろうとする意識が感じられ、さすが日野先生とワークショップなどで長年お付き合いがある方だなあ、と思った。ほめるとそこで歩みが止まる危険があるので、あまりほめないようにしているが、多分その辺のこともわかっておられるのでほめてしまった。日野先生から一言「手が働いていない」と厳しい指摘があったが、「これを改善するにはめちゃ時間がかかるで」と苦笑い。

 私に触れられた感想、指摘も鋭かった。私も2ヶ月ぶりだったので、だいぶ頭が騒々しく、手の感覚も鈍かったが、何回かしていると、シーンと意識が静まってきて、周りの人の話し声や動きが鮮明に感じられるようになって、思わず「この静かな良い感じの世界に帰ってきたなあ」と感慨に浸ってしまった。しかしちゃんと相手から「最初はちゃんと触れられていて良い感じだったが、後半(感慨に浸っているとき)は遠く浅く離れていった」との感想をいただき、やはりちゃんと相手に向かわないとあかん、とハッとさせられた。

今回Aさんに対する日野先生のアドバイスが私にもすごく役に立った。「手を背中に当てるとき、背中から5cmくらいの所に手をすっと入れるんやで」と日野先生からアドバイスがあり、Aさんがやってみたが、どこかぎこちない。Aさんとしては、滑走路に着地する飛行機のようにスムーズに手をあてるとイメージしてやってみたそうだが、さまにならない。そこで日野先生から「見たままをしないといけない。自分なりのイメージを作ってやるとうまくいかない。手の着地点を明確に定めて、そこに向かって(体からでなく)手から当てる。」という指摘があった。見たままをする大切さを私も再認識させられた。


2) 「寝ている人を呼吸に合わせて起こす」ワーク (2人1組、仰臥位と坐位)

仰向けに寝ている相手の首の後ろとお腹に手を当て、相手が息を吸おうとする瞬間に合わせて起こすワーク。Nさんは初めてだったが、何回か試行錯誤をされた後、起こすのに成功され、センスの良さが感じられた。とはいうものの日野先生のワークはみんなそれぞれ課題、伸びしろが際限なくある。今回のアドバイスでは、「呼吸を合わせたらダメ。勝手に合うねん」、「腕だけでなく、自分の体全体でいく」、「相手の呼吸の速さで相手の上体を起こす」の三点が印象に残った。相手とピタッと手を合わせ、自分の脳でなく自分の手で相手全体を感じ取り、自分の体全体が相手の呼吸や気配となり、上体を(吸気前の)ここで起こすと意志を発し、相手と一緒に起きる、という練習をした。


3) 「寝ている人の鎖骨から上腕前腕外側をさすって手首を持ち、上体を起こす」ワーク(21組、臥位と立位)

 仰臥位の相手の鎖骨付近を内側から外側へ、そして肩から上肢に沿って丁寧に圧や速度を変えずにさすっていき、手首まで来たら手首を持ち、上体を起こすワーク。

 何度かやっているとまあまあ起こせるようになったが、どこかスムーズでない。意識が途切れ、さする速度や圧が一定でなくなったり、速度や圧が相手と合ってなかったり、手首を持つ圧力が相手の筋肉の緊張度と合わず強く握りすぎたりした。つまり手で相手を感じていない。日野先生からは、「オレがおまえを本当にさわりたい」という欲求がないとダメだ、という根本的なアドバイスがあった。


4) 「相手の両手首を持って相手の肘から肩と動かす」ワーク(21組、坐位)

 相手の手首を両手で持って、手で相手の骨を感じながら肘方向へ少し動かし、肘の関節のゆるみがなくなってコツンと当たるのを感じる。そして手で相手の上腕骨を感じながら上へ動かし、肩関節のゆるみがなくなりコツンと当たるのを感じとる。相手の方は初めてで難しそうだったが、果敢に挑戦されていた。私も手でぼやっとしか感じ取れていず、もっと明確に相手の骨の位置や動き、筋肉の緊張を手で感じたいと思って試行錯誤していた。今から思うに、相手にどこが動かされているか口で教えてもらいながらワークをした方が良かった。


5) 「相手の両手首を持ち、相手の肘、肩を感じながら関節のつまりをとり、外側から内側へ両上肢と上体を固め、相手を倒す」ワーク(21組、坐位)

相手の手首をピタッとにぎった手だけで、相手の上肢や体幹の骨や筋肉の位置や緊張度、動きを感じとり、かつ手の圧力は始終ソフトに保ち、力みを相手に感じさせないまま、自分の体幹の筋肉を使って相手を倒す。まず肘の関節のゆるみを、自分の胸筋を主に動かしてとり、次に自分の肩周辺の筋肉を前→上→背側へと動かして、相手の上腕を下方外側から上方内側へと動かし肩関節を外側から固め、最後に自分の上背部の筋肉を上から下へ力を目一杯入れていって相手の上体を固めたまま相手を倒す。武道の手の内が一つ明かされたようなワークだった。

手はソフトに握ったまま、自分の体幹の筋肉を力いっぱい使って相手を動かすのがかなり難しい。手がどうしても力んでしまい相手に察知されてしまう。受けていると、手がピタッとソフトのまま握られていると相手からの力がこちらの腕や肩にすごく伝わって動かされる。しかし、相手の手が一部でも力んだ瞬間、体幹から伝わる力が抜けて、力の伝導がすごく弱まり、こんなに違ってくるのかと驚きだった。

立って動作をするときには足の裏が地面に接しているが、これも地球は何も言わないだけで、足の全部がピタッと地面に触れていると自分の体幹の力の伝わるが、足の接地面のどこか一部が緊張して踏ん張ったりすると力が逃げると思われる。接点に力みが出ないように練習していきたい。


6) 「一歩前に出ようとするのをオイと言って手で制止する」ワーク(21組、立位)

面と向かい合って立ち、相手が一歩前に踏み出そうとするのを察知して、オイと言って手を上げて相手を止めるワーク。

相手が足を踏み出す意志を発動させるときの意識の変化を感じとり、足を踏み出す動きが見える前にオイと相手に向かって言い、相手に向かって手を上げて動きを制止する。相手の意識の変化を相手と一緒になったかのように目で聴く。オレが相手にはっきり意志を向けて「オイ」と制止する。定番のワークだが、今回もなかなか満足にできなかった。明確に相手を感じ、意志を強く伝えることができるよう繰り返しチャレンジしていくしかない。


7) 「歌を目で聴く」ワーク(全員→21組)

 初めての方だったので、最初歌を目で聴いてもらったとき、眼振が気になった。しかし「歌をまっすぐ目で聴くと目はキョロキョロしなくなるもんやで」とアドバイスしただけで、次から正面をしっかり向いて目で歌を聴かれるようになった。Nさんはカンが良い。歌ったり、歌を目で聴いたりする練習がやりやすかったし、ダメ出しや修正がお互い遠慮なしに出来て気持ちよかった。


8) 「ひとりぼっちのよる」と歌をワンフレーズ歌って、相手を椅子から立ち上げるワーク(21組、立位)

 定番のワーク。オレがお前に歌う、相手の意識を聞く。その意識状態のまま、動作動作で意識を途切れさせないよう同じリズムで、体の一挙手一投足も同じ速さで、相手の両手をもって立ち上げる。相手と呼吸が勝手に合うくらいに相手と関係したまま、一連の動作を完結させるのは難しかった。自分の手足がちぐはぐに動くのも、もどかしかった。相手を感じきって、自分の体全体が相手になりきらないとだめだ。

 何回かやった後で、椅子に座った人に独自に違う歌を頭で歌ってもらい、同じように椅子から立たす、というワークもした。日常では相手は自分のことで頭いっぱいで、だいたいこんな意識状態である。難易度は高くなった。しかし日野先生がデモをされると、椅子に座った人が歌を歌えなくなり、日野先生の動作に吸い寄せられるように椅子から立たされた。相手と本当に関係できるようになるとすごい世界が現れる。

2020年12月23日水曜日

こころのかたち

 


2020/12/4の日野晃先生のブログ「現代人にこそ」

https://blog.ap.teacup.com/applet/hinobudo/archive?b=10

すごいことがさらっと書いてあった。

明鏡塾で習っていたのは、「こころのかたち」だったのか。

日本文化そのものではないか。

だから心うたれるし、魅了される。

そして習っていて、きりがない。

ゴールが見えないのも当たり前だ。

「こころのかたち」は、その人の一挙手一投足、生活のあらゆる所作、礼儀、態度、人や物との関係性、仕事などに現れてくる。

すぐれた伝統芸能、武道や職人などの名人芸、美術、工芸品、建造物などに感銘をうけるのは、素晴らしい「こころのかたち」を目の当たりにするからだ。

「こころ」を素晴らしいものに練っていく。日本にはそういう文化がある。

せっかく日本に生まれたからには、それにとりくまないともったいない。

 

明鏡塾で学ぶ「こころのかたち」。

意識、感覚、体の繊細な動かし方、使い方、ことば、声、感情など・・・・。

こころに関連したあらゆることを学ぶ。

そしてそれは、すべて「生」に直結する。

こころを研ぎ澄ませていくと、今までの自分の常識を越えたことが体感できる。

ただし、受け身では教われない。自分で学び取らないとだめだ。

非常に高度で、難しい。進歩も簡単には感じられず、安易な気持ちだとすぐ心が折れる。

しかし、一度その大切さに気づけば、すごくやりがいがある。

 

2020年12月3日木曜日

5期6回目大阪明鏡塾レポート

202010月、大阪5期最終回。

今期の明鏡塾はリピーターばかりの集まりとなり、皆のレベルが一様に上がった中、充実した時間を過ごせた。いろいろ試すのが面白くなり日常でつい何か集中して試すことが多くなった。明鏡塾翌日は毎年慣例のインフルエンザ予防接種の予約初日で、今年はコロナ不安の影響もありごった返していたが、「無駄な情報を相手に与えない」というワークがそのまま生きて、驚くほどスムーズに仕事が進み、診療時間を延長することなくきっちり終わった。今までになかったことだ。