2020年12月2日水曜日

5期5回目大阪明鏡塾レポート

 

20209月、今回の明鏡塾は武禅再開の話を飲み会で聞いたせいか、気持ちが大事だということが印象に残った。こまごまとした課題はいっぱい出てくるが、自分が情熱を持ってやらないといつまでもできない。親切にいろいろと教えてもらっても、手本を見せてもらっても、結局自分がやらないとどうしようもない。負けん気や情熱、欲求を持ち続け、とことんやった先に、明確で美しい姿や動作があり、澄んで静かな世界がある。

日野先生曰わく「宇宙飛行士は、宇宙に行ったあと、宇宙という環境に影響されて心境が変わったと言われることが多いが、本質は変わってないで」

で、人生が終わってしまうと残念すぎる。

 

 前回の宿題「ここと決めて触ってみる」について:

治療の現場での無意識的なくせの動作は、相手に与える相当なノイズになっており、無意識に治療の邪魔をしている。その無駄を省くだけで相当治療の質が上がる。患者さんを見る、聴く、パソコンを打つ、文字を書く、患者さんやスタッフなどに声を出して受け答えする、など、一つ一つの動作で意識をちゃんと対象に向けて明確にしていく必要がある。今がひどいので相当静かになるだろう。これから心がけていきたい。

 

1) 「体重移動」(21組、立位)

 今回も武道の体重移動から始まった。Oさんは力が強いのでいい練習になった。本当は違うが前段階の訓練として、手のひらの付け根の一点から人差し指、中指の先へ伸ばし、その勢いで指先と膝の一点を同時に動かす、ということを練習した。相手に力があると、無意識に反応して力で対抗しようとしてしまう。治療の現場でも相手に無意識に影響されている。それを感じて修正すること。影響を跳ね返してやる、という強い気持ちが根本的に大事だと教わった。

2) 「背中を触れる」ワーク(21組、臥位)

 久しぶりにOさん等と組んだ。Oさんの触れ方が以前と全く違い、押しつけが薄まって包み込むような柔らかい感じになっていた。最初の宿題報告の時に顔つきもだいぶスッとしてきたなあ、と感じていただけに納得だった。私は相変わらず、相手に向かう意識が弱いと感じていた。よって手などから相手を感じる、聴くが貧弱になる。手もビシッと生気が入っておらず、ぼてっとした感じに見えた。「行為や意思を明確に」を日常で一つ一つやっていき、改善をコツコツと重ねていきたい。

3) 「相手の前腕を両手で持ち、相手の背中のこりを感じる」ワーク (2人1組。床坐位)

前回と同じワークをGさんなどと組になって行った。なんとなく直感でボヤっと感じているレベルで、まだまだ先生のように明確にピンポイントに静かに相手の体や意識を感じていない。しかし諦めていても前に進まないので、(1)自分の手のこの点で相手の体のこのあたりの違和感を感じているつもりだが本当にそうか、相手に確かめてみたり、(2)手のひらをなるべくピタッと触れたまま、自分の肘や体幹を少し動かし相手の体の緊張状態を探ってみたり、(3)相手と呼吸をできるだけ合わせてみて意識状態を合わせて自分の体でどこがしんどくなるか感じ取ろうとしてみる、など試行錯誤した。

4) 「片腕を持って肘を操作して、肩を前・上・後ろ→背中の上から下へ動かし→骨盤をひっかけて相手を持ち上げて立たせる」ワーク(21組。床坐位)

Hさんなどと組んで行った。相変わらず立たせることは出来なかったが、動かす所がトンチンカンということは減ってきて、動かす場所や方向の的がしぼれてきた。腰までなんとか行けたが、骨盤を下にひっかけ立たせるところでロックが外れ失敗した。

5) 「両手で相手の両足首をふれる。相手全体をざっくり感じていると、相手のこっている場所が勝手に動く」ワーク(21組、腹臥位と坐位)

 腹ばいになっている相手の足首にピタッと両手を当てる。意思がちゃんと相手に向いていると背中などのこっているところが手で感じられ、しばらく感じていると、こりが勝手にゆるむ。日野先生が触れると、受け手は文字通り手から下肢を伝って背中のこりまで感じ取られていると感じる。しかし自分たちが触ると、足首の局所をぼやっと手で温めているだけ、みたいな感じになる。それでも温かくて気持ちはいいが、質が全然違う。

31組になって、2人に片足ずつ触れてもらい、どう違うか確かめてみるというワークもした。日野先生が別の組で触れ始めたり、一緒の組でMさんの片方の足首を触れたてもらったり、という機会があり、自分は本当にぼおっとしているなあ、というのがよく分かった。日野先生が触れ始めると、先生の意識に影響され、心身が静かにシャープになった感じになり、手や体の感覚が一瞬で変わり、受け取れる情報が鮮明で多くなった。いきなり神社が出現して、静謐感に包まれるみたいな感じがした。

6) 「相手の意識状態の変化を察知する」ワーク(21組)

一歩踏み出そうとするのを察知するワーク。相手が前に進もうと意識した瞬間を察知して、手を出して合図する。その手も明確に相手を制する意思を持った手にする。今回も自分たちがすると足が一歩踏み出せてしまうので、気合いが相手に届いていないのが分かった。相手に明確に意思を伝える、という欲求、気持ちを育てていくことがまず第一で、次に相手をちゃんと聴いて独りよがりの動作をしないことが第二に必要だ。

7) 「歌を目で聞く」ワーク(21組・坐位)

 最後の短時間、久しぶりにMさんとワークをした。眼振がだいぶ減ってきたが、まだまだこちらにきちんと意識が向いていない。しかし着実に心は静かな方へ進んでいるのはわかった。自分のことは自分でよくわからないが、相手をちゃんと聴けていないのは痛切に感じた。ぼちぼちやるしかない。

 

ワーク自体はいつもとそんなに変わらないが、レポートで振り返ると自分の課題が変化しているのがわかり、課題は相変わらず山積みで、先は底なしだ。日野先生の手本は、人や環境と溶け込んで、静かで澄んだ美しい気配を感じさせる。それに影響されて、明鏡塾から帰って数日は自分も澄んだいい心身の状態になる。明鏡塾の後では武道の基礎練習をしていても、一つ一つの動作が明確になっているのに驚く。しかし自分の努力で得たものではないので、すぐ元の状態に戻る。自分が「そうなりたい」と強い気持ちを持ち、どこまであきらめず挑戦していくかが将来を左右するのだろう。日常生活では、自分が何をやっているか分からないまま変なことをしていたと、あとで痛い目に合って気がつくことばかりだ。まずは日常の一つ一つの動作を意思や動作を明確にしこうと心がけて、コツコツと積み重ねていきたい。

気持ちも感情も育てるもので、抑えるものではない。教育として、みっともない、抑えろと強調され、それを受け入れてきたので、この年でようやく気持ちや感情を大事にしなければいけないという智恵を得られたのは大きい。

居酒屋のお話で、心の静けさにも底知れぬレベルがあるということを聞けただけでも良かった。一流のアスリートやボクサーなどがゾーンに入って自称「静かに」戦っているのは、まだうるさいらしい。一流のスナイパーのように、自然の風水などと溶け込んだような静けさは別次元らしい。なまで歴史に残っている名人や名僧などのエピソードを彷彿とさせるお話が聞けて良かった。努力目標になる。

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