2019年6月5日水曜日

カラスの子

土曜日の晩、帰ってくると、玄関先に傷ついたカラスの子がうずくまっていた。
あたりは一面、灰色や黄褐色のフンだらけ。
灯りの下でギロリとこちらをにらむが、目がうつろ。
その日は疲れていたので、そのまま玄関に入り、放っておいた。

日曜日の朝、様子を見に行くと、カラスの子はまだいた。
近づいていくと玄関の戸やガラスの方へ飛び立とうとジタバタし、何度もぶつかった。
方向感覚もかなりぼけているようだった。
よく見ると玄関のガラスも、ひっかき傷やフンでよごれており、
血もベットリと付いてた。
これはかなり弱っていて死ぬかも、と思った。

身柄を箱に確保して、河原かどこかに連れて行こうとしたが、
上空には心配しているカラスが何匹か、カーカーとうるさく騒ぎ出し、
カラスの子に近づくと、危害を加えるな、とばかり飛んできた。
カラスの子も、自分で逃げる元気はあり、
仕方なしに箱を盾にして、そのまま空き地に誘導した。
そして玄関先を水とブラシできれいに洗い流し、1日放っておいた。
その日は一日カラスの子と、親鳥?達が、カーカーとうるさく鳴き合っていた。

次の日の朝、死体の始末をするのは嫌だなあと思いながら様子を見ると、
カラスの子は少し元気になっていて、道路に移動していた。
電線やアンテナに止まったカラス達が、カーカーと鳴いて
子ガラスを元気づけていた。
さすがカラスは気高いなあ、と感心し、そのまま忘れていたら、
目や翼の不自由さを何とか間に合わせて、
昼前にはどこかにいなくなっていた。

そう言えば、岡本太郎がカラスを保護して、
好意と敬意を持ってしばらく飼っていたなあ、
と思い出しながら、
人間だと、きっと不安や妄想にやられて死んでいたに違いない、と思った。
薬や病院にばかりに頼っていないで、
野生動物のたくましさ、生命力の強さを少しは見習いたいものだ。

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