2020年11月30日月曜日

5期3回目大阪明鏡塾レポート

 

20207月、雨模様の蒸し暑い日、コロナの影響のせいか、こじんまりとした集まりだったが、密度は濃かった。ワークは相変わらず難しいが、難しさを皆が楽しんでいて、いい感じの一日だった。

 

●前回の宿題「様々な手応えを感じ検証し、自分の力加減と感覚を知る」の問答で印象に残ったこと:

1)「思いは実現する」。これは確かにそうだが、今のレベルでの思いではない。今はそんなことを思わないこと。意識状態が何層か良くなっていったら、思いは実現する。それは言葉も一緒。

2)今まで蓄積されてきた経験と全く違うことをやってみること。そうすると何か発見できる。例えば長年の片麻痺の人を歩かせるときに、麻痺側の足に体重をのせるように誘導するときのように。

3)手や足の末端をストレッチすると、神経が末端まで行き届き、感覚が鋭敏になる。

4)体幹や腕をストレッチして体を使うと外に力が出る。「(力んでいるだけの)力を入れる」と「力を出す」は大違い。

 

1) 「背中を触れる」ワーク(21組、臥位)

 今回もOさんと組んだ。前回教わった各指先のストレッチを1日1回以上していたせいか、いつものタッピングが息をひそめており最初からピタッと触れられた、との感想をいただいた。ただし深さがないと。Oさんは、当初手の震え、硬さがあったが、ワークでほぐれて手がピタッと柔らかく温かくなり、深くまで触れられるようになった。

今回は、両手をなるべく細かく震わせて、腕がだるくなり指先に重さがいくような感じになってから背中を触れてみる、ことを試した。背中にピタッと手を置いているが、手がめちゃくちゃ細かく震えている、というふうに想像する。想像が途切れたら、手を離す。施術の最後にやると、体がゆるんで気持ちがいいとのこと。やってみると、面白いくらい体の中が揺らされ、ほぐれていった。ワークをした時、この手と一緒にこの体も震えないとおかしい、おれが手を通して相手の体全体をふるわしたる、みたいな感じにするとかなり集中することができ、「めちゃくちゃふるわされた」という感想をもらえた。おれがおまえに、と相手と関係する際の、相手にきちっと意思を向ける手がかりになりそう、と思った。

午後の最後に、「ここ」と背中の気になる2カ所を指さして「背中を触れる」をした。「ここ」とピンポイントで集中して手を触れると、相手の深いところまで触れられた。このワークも「おれがおまえに」と、より強く意思を向けるヒントになった。


2) 「相手の前腕を両手で持ち、震えを全身に伝えて倒す」ワーク (2人1組。床坐位)

両手を充分に震わせておいてから、床に坐っている相手の前腕を両手で持つ。両手が震えているイメージを持ち続け、振動がブルブルと相手の上肢から体幹、体全体へと充分に伝わったと感じたら、倒れやすくなっているので、そのまま倒す。日野先生は簡単にされていたが、実際やってみると上肢くらいは振動が伝わるが、体全体を震わすところまで振動を伝えられず難しかった。自分と相手に壁を感じた。


3) 「両手で相手の手首から手の付け根を包むように触れ、下にしゃくるように動かして肘外側の一点を感じ、肘を感じ取ったままさらに下にしゃくるようにして肩の1点を感じ、肘外側から肩、肩の裏側から上背部へとつなげたまま、力を加えていって相手を倒す。もしくは背中を外へほぐすようにストレッチする」ワーク(21組、坐位)

 前回全くできなかったワークに再び挑戦。相手の肘や肩を手で感じているのを見失ったりして、相手を強引に感じようとしたり動かそうとすると、手に力が入って失敗した。相手を触っている手の感触はずっと一定で柔らかく包み込んだまま、相手の肘、肩の一点を感じ、その感触を保ったまま肘外側の一点に戻り、肘から上腕外側、肩外側、上背部へと一定の重さを(特に外側の人差し指で)感じ取りながら力を伝えていく。こちらが力を入れる際は、手で触っているところはあくまで柔らかいままで、上腕や背中から力を出していくことがコツだった。今回も相手を倒すところまで行かなかったが、注意点が前回より明確になった分、肩くらいまでは力をいい感じで伝えることが出来た。

 次に、途中まで同様にして肘、肩を感じた後、肘や肩を相手の外側下方へと動かして、相手の上背部から後頸部にかけて、広げるようにストレッチさせる。上手にできれば、腕が前から反対側へ回しやすくなり、首も回しやすくなる。これも手で相手の体の部位をきちっと繊細に感じとれなければ出来ないワークだった。手で繊細に感じ取りながら、自分の上腕や体幹を中心に体全体を使って力を相手に伝えるというのは、かなり難しかった。


4) 「第2,3指を相手の肘に当てて、指で相手の肘、肩をちゃんと感じて、肩を前↗上↘後へ一点一点順に連続して動かしていくと相手が後ろへ倒れる」ワーク(21組、床坐位)

 日野先生がデモをされるといとも簡単に受け手が後ろに自然に倒れた。しかし我々がすると全く出来なかった。

 昼食休憩後、日野先生が大ヒントで、手のひらで同じことをするワークを提案して下さった。受け手に肘を軽く曲げ、手のひらを下にしてもらう。その手にピタッと下からあてがい、まず相手の肘に向かって繊細にピタッとしたまま手を動かし、肘関節を詰まらせ肘の一点を感じる。次に肘を感じたまま、上腕を下から上へと肩関節まで、手のひらで感じ取りながら、手のひらの角度、圧力点を微妙に調節しながらたどっていく。肩関節の前を感じとれたら、肩の上から後ろへ順に繊細かつ滑らかに動かしていくと、相手は後ろに倒れる。手のひらでやると、要求されている感覚の精度、圧力をかける精度(接点の場所や力加減)が想像以上に要求されていたと分かり、出来るようになった。その後2本の指でやってみると、ぎこちないながらもなんとか出来た。


5) 「押されても手の圧力を変えずに体で下がる」ワーク(21組、立位)

 「呼吸に合わせて背中を押し込むとき、吸気時に手を押したまま下がるのはどうすればいいか」と質問があり、立位で両手を合わせて立ち、相手に手を押してもらい、その圧を感じながら手の圧を変えずに体を動かすワークをした。手は相手とぴったりしたまま圧や接点を変えずに、そして上肢の形、圧、筋力はなるべくそのままで、肩や体幹を車のサスペンションみたいに使って圧を調節する。非常に基本的かつ重要で、一つのワークとして練習させてもらえて良かった。


6) 「歌の歌い始めを察知する」ワーク(21組・坐位)

 向かい合って坐り、相手の前腕を握ってスタンバイする。あるとき突然、相手に無言のまま頭の中で歌ってもらう。その歌い始めた瞬間を察知し、前腕を引っ張って合図する。

先生はすぐに意識の変化を察知して百発百中で当てられた。我々がすると、本当に当てずっぽうになる。判断が入るとめちゃくちゃ遅れるし、疑心暗鬼になってはフライングしてしまった。しかし体が勝手に反応して当たるときもあった。受け手として、相手の体はせっかく反応しているのに、頭でストップがかかり、歌い始めの瞬間を見逃しているときがけっこうあった。こちらが思いの世界に入らず、静かな意識状態のまま相手に向かい、なんとなく相手の意識がうるさくなった、変わったと感じた瞬間に、手を引っ張ると当たることが多くなった。


7) 「寝ている相手に「今」と言って起こす」ワーク(21組・臥位)

 仰向けに寝ている相手の首の後ろに手を当てて、スタンバイ。自分のタイミングで、相手に「今」と突き刺すように言い、相手を起こすワーク。「今」がちゃんと相手にハッとさせるように届くと、呼吸に関係なく相手を楽に起こせる。「えい」と気合いを相手に入れて倒す技を彷彿とさせる。先生は楽に起こされていたが、私がやると「今」がぼんやりとしか相手に届かず、やっとこさ相手を起こせるくらいだった。「今」という声をするどく、相手の奥底まで突き刺したい一心でワークをした。

 

東京明鏡塾では接点が大事だと盛り上がっているらしい。その影響のせいか、今回の明鏡塾では接点について自分でも学びがあった。人を触れて動かすとき、自分の手や体を動かすとき、本当に具体的に点として感じて動かさないと失敗する。ワークで要求されるのは、今までの自分には想像もしなかったほどの本当に繊細で小さな点の感覚である。自分の体を今まで本当に小さな点で感じていなかったし、相手との接点も小さな要点があるとも気づいていなかった。

接点を一定の圧でぴたっとしたまま、体全体で力を受け止める。その中で、小さな点で方向を繊細に調節しながら力を伝える。出来ないときは、点を感じたり見たりせず、焦って、思いの世界で勝手に出来たことにして、やみくもになった。または感覚の世界では感じているのに、思いの世界で判断してから動き、間が抜けた。自分の重心点、胸骨や肘、手など動かそうとしている小さな点、を本当にきちんと具体的に感じる。だいたいぼやっとこのへん、ではだめだ。自分の体でさえ、例えば立つときに股関節に体重をのせようとしても、太ももにのったり、殿部外側にのったりと、重さの点が一定しない。肩を前↗上↘後ろへと動かそうとしても最後まできちっと予定通りの箇所を動かさず、途中で腰など自分が動かしやすい所を気づかず適当に動かしてしまっている。今までどんなにか、ぼやっと思いの世界に身をおいて過ごしていたかに気づき、我ながらアホやなと思った。しかしこれから毎時気をつけて点で感じて動かすように修正していったら、どういう世界が広がるか楽しみだ。意識や気持ちがだいぶ清明に静かになるに違いない。

また、感じたら思いの世界に入らず即動く、ということも意識していきたい。相手に歌を歌う、目で聴く、気合いをかけるワークなどにおいて、「おれがおまえに」と意思を向け伝えるにあたり、まず小さな点で相手を触れて感じて、そこから深く相手全体を感じとる、もしくは全体の雰囲気をそのまま感じ取ろうとする、といろいろ試行錯誤していきたい。

0 件のコメント:

コメントを投稿